カンピロバクター食中毒
2014-07-11 [記事URL]
カンピロバクター食中毒は、平成25年に全国で発生した食中毒のうち、件数・患者数と もにノロウイルス食中毒に次いで2番目に多く、特にこれからの時期は注意が必要です。 カンピロバクターによる食中毒は、気温・湿度が高い時期に多く発生しています。 サルモネラと同様に鶏、牛、ブタ、ヤギなどの家畜や犬などの腸管内に分布しているため、 これらの動物の糞によってカンピロバクターに汚染された食肉や水を介して、食中毒を起 こします。 カンピロバクター食中毒の主な原因食品は、生あるいは加熱があまりなされていない鶏肉 (鶏刺し、タタキなど)、加熱不十分な鶏肉(バーベキュー、鶏鍋、焼き鳥など)、あるい は鶏肉から調理過程の不備で二次汚染された食品などからの感染が多く報告されています。 また、牛レバーの生食が原因になった食中毒事例や、井戸水、湧水、簡易水道水など消毒 不十分な飲用水による感染事例もあります。カンピロバクターは、少量で感染し、人から 人へ直接感染したり、ペットから接触感染したりする例もありますので注意が必要です。 少量の酸素がある状態(微好気)という条件で繁殖するため、常温の空気の中では徐々に 死滅していきます。4℃以下の温度で長期間生存が可能ですが、酸素がまったくないとこ ろでは発育しません。 主な症状としては下痢、腹痛、発熱などです。抵抗力の弱い子どもや高齢者などは重症化 する恐れもあります。特に乳幼児はカンピロバクターに感染しやすく注意が必要です。 カンピロバクターによる胃腸炎の潜伏期間は2~7日とやや長めです。 発熱、倦怠感、頭痛、筋肉痛などの前駆症状があり、次いで吐き気、腹痛がみられ、その 数時間後から2日後に下痢症状が起こります。 カンピロバクターによる下痢は、水様便ですが、粘液や血便もあり(小児では血便を伴う ことが多い)、O157感染との見分けが難しいです。通常、発熱は38~39℃で、腸炎 のほかに敗血症や関節炎、髄膜炎を起こす場合もあります。 また、カンピロバクターに感染した数週間後に、手足の麻痺や顔面神経麻痺、呼吸困難な どを起こす「ギラン・バレー症候群」を発症する場合があることが指摘されています。 カンピロバクターは食材のなかでは鶏肉や牛レバーから最も高率に検出されるので、生あ るいは加熱不十分の鶏肉や内臓肉を食べることは控えるべきです。熱や乾燥に弱いので、 調理器具は使用後によく洗浄し、熱湯消毒して乾燥させる事が非常に重要です。 また、カンピロバクターの汚染が多い食肉からサラダなどへの二次汚染を防ぐために、生 肉を扱う調理器具と調理後の料理を扱う器具は区別すること、生肉を扱ったあとは手指を 十分に洗浄しましょう。 冷蔵庫内で、生の食肉と他の食品との接触を避けることも重要です。 未殺菌の飲料水を飲まないこと、小児ではイヌやネコなどの保菌動物への接触で感染する こともあるので、便などに触らないなど予防のために十分に気をつけましょう。