簡易包装⇒ゴミ減量 ~神戸の実験で成果~

tel:0120-60-1064

簡易包装⇒ゴミ減量 ~神戸の実験で成果~

▼詳細
簡易包装の商品を積極的にPRして消費者に買ってもらうことで、ごみ削減につながるのでは―。そんな全国初の大規模な実験「簡易包装を買おうプロジェクト」が先月、神戸市東灘区の六甲アイランドで繰り広げられた。その結果、簡易包装の商品の販売量が増加してごみの削減が見込まれたり、住民の環境意識に変化が生まれるなど、一定の成果が得られたという。

 プロジェクトを実施したのは、神戸大学の学生や社会人でつくる「特定非営利活動法人ごみじゃぱん」(代表=石川雅紀・神戸大大学院経済学研究科教授)。

神戸市によると、市民1人1日あたりのごみの量は平成16年度、政令指定都市の中で大阪市に次いで多かったという。また、阪神大震災の際に大量の廃棄物が出た経験などから、「現状を少しでも改めたい」という思いが強かった。

 だが、「ごみの分別やリサイクルというのは深層心理として、面倒くさいという気持ちがある」と石川教授は指摘。環境意識の高い人でも、「やらされている」という感覚があると分析する。

 根底には、ごみ問題に対する知識や情報の不足があるのではないかと考え、ごみに関する情報を積極的に提供しながら、ごみの発生を抑制する仕組みを作ろうと、プロジェクトを企画した。

 実験では、六甲アイランドにある「コープこうべ六甲アイランド」に協力を依頼した。まず、ごみじゃぱんのメンバーが、店内にある商品のうち、「個別包装なし」「トレーなし」「外箱なし」など、独自に考案した簡易包装商品の基準をクリアした食品や日用品など280点を推奨商品として認定。それぞれに、認定理由などを書いた説明文をつけて、消費者に訴えかけた。

 また、店内にはポスターやのぼりなどを配置し、店員にもプロジェクトを宣伝するそろいのウインドブレーカーを着てもらい、ムードを盛り上げた。

 その後、2月1日から28日までの1ヶ月間の実験期間が終了した時点で、推奨商品について、そうでない商品を購入した場合と比較したごみ削減量を調べており、それらをあわせて計算したところ、コーヒーやレトルト商品など6ジャンルについては、計約7kg分のごみが削減できたという推計結果が出た。

 また、プロジェクト実施前後には、住民の意識調査なども行った。プロジェクトを知っていたのは81.6%で、期間中に簡易包装用品を購入した人は62.8%だった。

 買い物意識の変化を調べるため、「買い物の際にどんな点を重視していますか」と聞いたところ、プロジェクト実施前は、食品について「詰め替え用があること」を挙げた人が51.0%だったが、実施後には61.2%に。せっけんやシャンプーなど日用品では、67.4% から75.9%に増加。また、日常生活で環境問題に関心を持つ人も、51%から60%に増えた。

 石川教授は「プロジェクトは好意的に受け止められたが、消費者が商品を買うその瞬間に、きちんとメッセージが伝わったかどうかを考えると、課題は残る」と指摘するものの、「普通にものを買うだけでも、環境に貢献することができると考えてくれる人が増えたのではないか」と評価。また、「企業だけでなく、買う側にも責任があるという人も増えていた」と分析、実験結果に手応えを感じている。



コメントを残す

*

PAGE TOP




MENU

CONTACT
HOME