異物混入の問題児シバンムシ”
2012-11-22 [記事URL]
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皆様こんにちは。11月も後半に入り、年末が近づいてきました。年末の大掃除をそろそろ始める方もいるのではないでしょうか?
さて、今回は『メイガ』と並ぶ異物混入の問題児『シバンムシ』についてお話し致します。
シバンムシとは甲虫目シバンムシ科に属し、日本全土で70種ほどの生息が確認されています。
孔を開けるなど紙に加害するフルホンシバンムシやザウテルシバンムシ。
古い木材などを食害するケブカシバンムシ。
そして食品関係で問題となっているのがタバコシバンムシとジンサンシバンムシの2種です。
タバコシバンムシ、ジンサンシバンムシの両種とも、ノシマダラメイガと共通事項が多く、幼虫はあらゆるタイプの貯蔵植物性食品、穀物、穀粉、麺類、菓子などを食害します。
したがって、それらの製品を扱う飲食店や工場などでは、特に注意の必要な害虫です。極めて穿孔力を強く、ノシマダラメイガの幼虫より厚い包装材をも食い破ります。
成虫は、暖かい地域の方が出現しやすく、関東や関西では年2回、東北では年1回、九州では年3回出現し、活発に飛び回ります。
注目すべきは、最近新築間もない住宅に多数のタバコシバンムシが飛来するという現象が各地で観察されています。その原因はシックハウス対策で建材にホルムアルデヒトを含まない接着剤を使用するようになった事と関係しているのではないかという推測もありますが、その実情は未だ解明されてないそうです。
タバコシバンムシは、飲食店や食品工場だけでなく一般のご家庭でも高率で住み着いているようです。生息状況の調査を関東地方で行ったところ、調査をした全てのご家庭で確認されたというデータもあるほどです。
つまり、異物の混入は食品工場や販売店が原因で起こっているだけでなく、工場から販売店、販売店からご家庭、そしてご家庭で消費するまでどの工程でも異物混入は起こりうると言う事です。
これからは、食品関係に携わる施設だけでなく、一般のご家庭でも対策は必要になってきているのです。
その対策はノシメマダラメイガと共通項が多いだけの事はあり、その対策にも共通項が多いです。使用(出荷)までのサイクルを早める事と、徹底した整理・整頓・清掃です。フェロモン系トラップも有効です。
そして昨今普及してきた駆除方法が、加熱処理による熱殺虫です。シバンムシは60℃10分で100%死滅すると言われています。その具体的な方法は、熱風を室内に供給し、55~60℃の高温を数時間~1日ほど保持し、屋内の害虫を成虫から卵に至るまで全滅を図ります。
今や、異物混入問題は、生産から消費までありとあらゆる工程において混入の危険性があります。そうした面からも、これからの食品衛生問題は一家庭の目から行う必要があるという事です。