知って防ぐ!カンピロバクター
2013-04-19 [記事URL]
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皆様こんにちは。
暖かくなってきて、そろそろ食中毒の対策を始めていく時期になりました。
近年、カンピロバクターという細菌を原因とする食中毒が多く発生しています。この食中毒は、みなさんが調理や食事のときに少し注意をすることによって防ぐことができます。
調理をする方も食べる方も、カンピロバクターの特徴を知ることによって、食中毒防止のポイントをおさえ、おいしく食事をとりましょう。
カンピロバクターは、食中毒を起こす病原菌です。酸素が少しある環境を好み、酸素が十分にある通常の大気や、逆に酸素が全くない環境では増殖できません。
また、増殖できる温度域は、31℃から46℃です。主な生息場所はウシ、ブタ、ヒツジ、ニワトリ、イヌ、ネコ、ハトなどの動物の消化管内で、これらの動物のふん便から検出されることがあります。
カンピロバクター食中毒の主な症状は、下痢、腹痛及び発熱で、他に倦怠感、頭痛、めまい、筋肉痛などが起こることもありますが、比較的予後は良好です。初期症状は風邪と間違われることもあります。
潜伏期間は、1日から7日(平均2日~3日)と他の食中毒菌に比較して長いのが特徴です。
初期症状は、この食中毒特有のものではないので、自分では何の病気による症状か判断することはできません。食中毒の種類によっては、自己判断による下痢止めの服用などで症状が悪化する場合もあります。
下痢や腹痛がひどい場合は、必ず医療機関の診察を受けて原因を調べてもらい、適切な治療を受けて下さい。
食中毒や感染症は、小さな子供や高齢者など体の抵抗力が比較的弱い年齢層や、病中・病後など、免疫機能が低下している状態の方がかかりやすいものです。カンピロバクター食中毒の場合は、0才から4才の子供と15才から25才の患者が多く報告されています。
青年の感染事例が多いのは、抵抗力の問題よりも、海外旅行での食べ物やバーべキューなどの飲食の機会の多さが原因ではないかと考えられています。また、入院治療を行った症例は、9歳以下の子供に多いという日本での集計もあります。
カンピロバクター食中毒になった人が食べたものを調査した結果から、鶏肉がカンピロバクター食中毒の発生に関与している例が多いということがわかっています。だからといって、鶏肉を食べると危険というわけではありません。
鶏肉を生食したり、十分に加熱せずに食べたこと、または鶏肉を取り扱った手指や調理で使われた器具を介して他の食品にカンピロバクターが付着してしまい、その菌を摂取したことなどが食中毒の発生につながっていると考えられています。
今回、特にカンピロバクターに的を絞っているのは、十分な加熱調理と二次汚染防止を徹底すれば比較的容易に防げるはずのカンピロバクター食中毒が、近年増加しているためです。
特に近年は、飲食店や学校の調理実習等でカンピロバクター食中毒が多く発生しています。そのため、調理に携わる方や食べる方にも、この食中毒について正しく理解してもらうことにより、食中毒防止のポイントをおさえて、おいしく食事をしてもらいたいのです。