世界食料 黄信号 ~中国経済成長・バイオ燃料の急増~

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世界食料 黄信号 ~中国経済成長・バイオ燃料の急増~

▼詳細
世界の食糧事情が大きく悪化するのではないかとの懸念が広がっている。中国などの経済成長や発展途上国の人口増で食糧需要がどんどん増えている上、環境問題や資源枯渇への懸念を背景に穀物をバイオ燃料に振り向ける動きが強まっているためだ。地球温暖化が食糧生産に与える影響も心配で、食料自給率が低い日本は将来に向け安定供給のための戦略を迫られている。

  ●値上げ
先月、果汁飲料の値上げ発表が相次いだ。明治乳業が100%果汁「ミニッツメイド」(1㍑)の希望小売価格を21円引き上げたほか、日本ミルクコミュニティ、キリン・トロピカーナなども値上げを決めた。オレンジの産地・米フロリダ州がハリケーン被害に遭ったり、ブラジルでバイオエタノール用サトウキビを生産するためオレンジ畑が次々につぶされたりしているためだ。

 製粉各社は近く小麦粉価格を24年ぶりに引き上げる。昨年の豪州の干ばつなどで小麦の政府売り渡し価格が平均1.3%上がったためで、パンなども値上がりしそうだ。

 世界の穀物取引の中心、米シカゴ商品取引所では昨年後半からトウモロコシ、小麦、大豆の価格が急騰している。水産物も、マグロの漁獲制限をはじめとした資源の制約と、中国、欧州など世界的な魚食の拡大で値上がり傾向にある。

  ●人口増
 世界の食糧需要を押し上げているとみられるのが経済成長が続く中国だ。所得水準の向上で中国の肉類、油脂類、魚介類の1人当たりの消費量は90~03年の間にほぼ倍増した。一方、穀物生産は伸び悩み、中国は04年に農産物の純輸入国に転じた。食料の大半はまだ自給を維持しているが、大豆の輸入は年約3000万㌧で世界一。「農村部の食生活が都市部に近づくと食糧消費はさらに増える」との予想が多い。また、インドをはじめ発展途上国の人口増も、世界の食糧自給に影響を及ぼす可能性が高い。

  ●高騰
 ブッシュ大統領は1月の一般教書演説で、10年後に米国のガソリン消費量を20%削減し、トウモロコシを原料にしたバイオエタノールなどの代替燃料を年約1300億㍑供給する目標を掲げた。06年のバイオエタノール生産量の7倍で、地球温暖化対策であると同時に「原油の中東依存からの脱却」を目指す安全保障戦略でもある。これを受け、シカゴ商品取引所のトウモロコシ価格は2月に前年のほぼ2倍に達した。

 米国のトウモロコシ輸出は世界の約7割を占めることから、価格高騰のあおりは他国にも及んでいる。トウモロコシを主食とするメキシコでは、抗議デモが起きるなど社会問題に発展。飼料の価格も上がり、日本の畜産農家に影響が出ている。今のところ、肉の価格には転嫁されていないが、飼料の高値が続くと肉も値上がりの可能性が出てくる。



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