2008-03-31 [記事URL]
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大田区でアスベスト(石綿)を吸い、中皮腫などを発症した住民が見つかった問題で、区は29日、新たに50~80代の住民45人が石綿を吸い、胸膜プラークを発症していたと発表した。健康への影響はほとんどないという。
区は昨年12月、区内の東京労災病院から情報提供を受け、石綿被害を受けた住民8人を確認。同区大森南地区に石綿を作る工場があったこともあり、2~3月に同地区近隣の住民や元住民916人を対象に無料健康診断を実施、45人の被害者を発見した。
うち、3人は工場の元従業員で、32人は工場の元従業員の家族ら。残り10人は工場に入ったことがない住民で、大気中の石綿を吸ったとみられるという。
(胸膜プラークとは、主として壁側胸膜(肺の外の膜で胸腔にくっついている薄い膜)に生じる両側性の不規則な白板状の肥厚です。厚さは1~10mmと多彩ですが、多いのは1~5mmのものです。胸膜プラークそれ自身では肺機能障害を伴わず、胸膜の疾患を意味するものではないのです。)
2008-03-28 [記事URL]
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渋川市立橘小学校(武居宏幸校長、320人)で今月18日、給食に出た赤城酪農組合(同市赤城町)の紙パック牛乳1個に昆虫のカマドウマが混入していたことが分かった。6年生の男子児童(12)が途中まで飲んだが、体調不良などは訴えていない。
市教委によると、同日の給食中に児童がストローに違和感を感じ、体長約1センチのカマドウマを見つけた。「赤城牛乳」(200ミリリットル)は市内の13小中学校、2幼稚園が購入していたが、同日以降は別業者に切り替えた。
連絡を受けた県渋川保健福祉事務所は同日と21日、同組合の工場を立ち入り検査し、パックを組み立てる際に昆虫が入り込んだ可能性が高いと確認。周囲にカバーを設置するなど改善指導し、25日に製造再開を許可した。市教委は新学期から同組合の牛乳を購入するという。
同組合は給食用のほか、一部を戸別配達したり、スーパーなどに卸している。他の牛乳に異状はないという。
2008-03-26 [記事URL]
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ディーゼル車の排ガスなどに含まれる微粒子状物質(PM2.5)について、環境省は24日、長期間吸い込むことで肺がんによる死亡率が約1.3倍になるという国内初の大規模調査結果をまとめた。
循環器疾患による死亡率の増加については「関連はみられなかった」とした。
2008-03-19 [記事URL]
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環境省は、世界の温室効果ガス排出量のうち2020年時点で圧縮可能な量を約100億トンとする研究結果を、14日からのG20対話で公表する。
国立環境研究所と京都大学などの共同研究による試算値で、圧縮可能な排出量を国・地域別に比較すると、中国、米国、ロシアの順。その対策費に1321億ドル(約13兆6000億円)が必要としている。こうした試算値は世界的にもあまり例がなく、中長期的な削減目標を話し合う国際会議の議論に大きな影響を与えるのは必至だ。
研究は、世界全体を大きく21の国・地域に分類。00年時点の経済成長がそのままのペースで続き、産業構造も変わらないという前提で現在の技術や対策が普及した場合、20年に各国・地域の排出量をどれぐらい圧縮可能か試算した。
世界の排出量は00年時点で約250億トンだったが、現状ペースで排出量が増え続けると、20年には約430億トンになる。しかし、排出量取引が世界に普及して二酸化炭素(CO2)の排出枠が1トン=100ドルで売買される場合や、1トンの排出に100ドルの税が課される場合を仮定すれば、企業や個人の削減意欲が高まるため、20年の排出量は約330億トンまで抑えられる。
この差し引き100億トンが圧縮可能とした量で、内訳は先進国が37億トン、途上国が62億トンと推計した。圧縮可能量が多いのは〈1〉中国〈2〉米国〈3〉ロシア〈4〉EU〈5〉インド〈6〉アフリカ〈7〉中東〈8〉ラテンアメリカ〈9〉東欧〈10〉日本--の順。この上位10位までの国・地域で可能量の72%を占めるという。
途上国は京都議定書(約束期間08~12年)では削減義務を負っていない。しかし今回、先進国より途上国の方が圧縮可能量が大きいと指摘したことで、13年以降のポスト京都議定書をにらんだ枠組み作りにも影響を与えるとみられる。
ポスト京都の枠組み交渉で、EUや中国は、20年の先進国の排出量を1990年比で25~40%削減するよう求めている。しかし今回の研究によれば、1トンあたり100ドルの対策費をかけても、20年の排出量は00年比で増加することになる。
2008-03-12 [記事URL]
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環境省は、清涼飲料水などのペットボトルにデポジット(預かり金)を上乗せ販売し、回収・洗浄して繰り返し使うよう促す「リターナブル化」を進める方針を固めた。廃棄物を減らし、温暖化対策にもつなげる狙いで、具体的な方法を検討する研究会を3月に発足させる。業界の反発も予想されるが、容器包装リサイクル法の改正などで、3年以内の導入を目指す。鴨下一郎環境相が29日の閣議後会見で表明した。
リターナブル・ペットボトルは、ドイツや北欧諸国などが導入している。1本15~25ユーロセント(約25~40円)のデポジットを徴収し、商店などで回収時に払い戻している。デポジット方式は、国内でも一部のガラスびんなどで行われている。
しかし、回収の手間や洗浄コストがかかることなどから、ペットボトル業界などは導入に反対してきた。
研究会では、洗浄方法など品質保持策や回収システムの検討を進める。繰り返し使うには、ペットボトルの肉厚を厚くして耐久性を高める必要があり、成分によっては容器に吸着し、衛生上の問題が生じる恐れもあるからだ。さらに、再使用に伴う運搬や洗浄で生じる環境負荷がどれくらいかも検証する。
リサイクルや食品衛生の研究者、業界代表ら8人で構成し、3月7日に第1回会合を開催。年内にも報告書をまとめる。
業界団体「PETボトルリサイクル推進協議会」によると、国内のペットボトル販売量は約54万トン(06年度)で、10年前の3倍強。うち66%の約36万トンが資源回収され、化学繊維などに再生利用されている。
環境省は「再生利用は順調に進んだが、今後は一層の環境負荷の低減が必要だ。高騰する石油資源の節約にもなる」と強調している
2008-03-05 [記事URL]
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千葉、兵庫両県で3家族10人の被害者が出た中国製ギョーザ中毒事件は、29日で発覚から1カ月。捜査は中国側が非協力的な姿勢に転じ、日中の捜査協力は暗礁に乗り上げつつある。数々の課題が浮上した厚生労働省は着々と手を打っているかにみえるが、いまだ手探りが続く。
厚生労働省は「情報伝達の迅速化」と「水際の強化」の2つを柱にする対策を取った。だが、毒物の人為的混入が疑われる今回のようなケースは「対策を強化しても、まず防ぎきれるものではない」(厚労省幹部)というのも本音。輸入食品の安心が保証できる体制づくりは難しそうだ。
厚労省が反省点として挙げているのが、情報伝達の遅れだ。千葉市の母子が問題のギョーザを食べ、体調不良を起こしたのは昨年12月28日。厚労省が事態を把握したのは1月29日。
1カ月も要したのは保健所、自治体などの判断や連絡のミスが重なったのが原因だった。情報の遅れは、被害の拡大を招きかねない。
このため、厚労省は全国の保健所で365日24時間、情報を受ける態勢を整える。食品衛生法の施行規則も改正し、自治体が厚労省に報告する食中毒事案に「重篤な患者が出た場合」と「化学物質が起因」を追加した。
水際の監視体制強化も課題として浮かび上がった。残留農薬検査は生鮮品が対象で、ギョーザのような加工品は対象外だったからだ。厚労省は2月22日から、横浜と神戸にある検疫所の「輸入食品・検疫検査センター」で加工食品の残留農薬検査を始めた。
また、中国の工場視察や衛生管理の普及・啓発を任務とする食品衛生監視員を、近く北京の日本大使館に配置する。
一方、日中両政府間で「協力して行う」と決めた真相究明は暗礁に乗り上げている。2月上旬に来日した中国調査団と合意し、内閣府に設置された情報交換の窓口もほとんど機能していない。
関係者によると、日本側は天洋食品の工場でのメタミドホス使用記録や衛生管理工程の資料などを送るよう要請した。しかし、2月下旬に「ほとんど役立たない」(厚労省幹部)中国語の衛生管理に関するわずかな資料が送られてきただけ。関係者には中国に対する不信感も募り始めている。
2008-02-27 [記事URL]
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トウモロコシなどの穀物からバイオ燃料をつくるために森林や草地を切り開いて畑にすると、温室効果ガスの排出量が数十年から数百年にわたって増えて地球温暖化を促進するとの研究結果を、米国の2つの研究チームが8日までに米科学誌サイエンス(電子版)に発表した。
二酸化炭素(CO2)の排出削減につながるとして、世界中で温暖化対策の有力な柱に据えられるバイオ燃料だが、米ワシントン・ポスト紙によると、10人の科学者グループがこれらの研究結果をもとに、ブッシュ大統領や議会幹部に政策の見直しを求める書簡を提出した。
両チームとも、土地の新規開拓で焼き払われる樹木や、耕される土壌から長期間にわたって放出されるCO2を勘案したバイオ燃料と、同量の化石燃料とで、排出されるCO2量を比較した。
プリンストン大のチームによると、トウモロコシを原料にしたエタノールの場合、30年間はバイオ燃料の方がガソリンより2倍近くのCO2を放出。ガソリンの排出量を上回るのは167年間も続くことが分かった。土地を新規開拓せずに生産したエタノールを使えば20%の削減になった。
また、ミネソタ大などのチームによると、インドネシアの泥炭地の森林をディーゼル燃料向けのアブラヤシ畑にすると423年間、ブラジルの熱帯雨林をディーゼル燃料用の大豆畑にすると319年間、それぞれバイオ燃料の方が化石燃料よりも排出量が多いとの結果が出た。
2008-02-20 [記事URL]
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酸素の大気中濃度が、年4ppm(1ppmは100万分の1)ずつ減っていることが、国立環境研究所の観測でわかった。
大気全体の5分の1を占める酸素濃度のわずかな変化を測るのは難しかったが、同研究所は独自の方法を開発し、沖縄と北海道に設置した装置で観測した。その結果、99~2005年の酸素の減少ペースはほぼ年4ppmだった。
酸素の減少率を基に計算すると、この期間に化石燃料などを燃やして大気中に放出された二酸化炭素(CO2)のうち、30%が海に、14%が森林などに吸収されていることもわかるという。CO2はこの50年間、ほぼ年2ppmのペースで増え続けている。