救世主か、地熱発電
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ユーラシアプレートと北米プレートの二つの地熱が交わる大西洋中央海嶺の真上に、アイスランド最大のネシャベトリル地熱発電所がある。地熱発電は二酸化炭素排出量が火力発電の20分の1と少ないだけでなく、今後本格的な技術輸出が見込める。
◇温暖化対策で注目◇
こけむした溶岩台地に、直径90㌢のパイプラインが道路沿いに延びる。首都レイキャビクから東に30㌔、火山活動の蒸気と雨雲が溶け合う中に地熱発電所が姿を現した。
硫黄のにおいが鼻をつく。発電所は活火山ヘンギルの真上に位置し自信は頻繁に起きる。広報責任者のトンズバークさん(29)が指さす壁には、大きなひびが入っている。「耐震構造ですから」と強調するが、建物はあちこちひびだらけ。アイスランドが火山と地震の国である事を改めて実感させられる。
地下1~2.2㌔にある380度に熱せられた岩の間から蒸気と熱湯が取り出される。高温の蒸気はタービンに吹き込まれ、アイスランドの発電全体の8%に当たる120メガ㍗を発電する予定で、ヘンギル地区だけで約20%が発電される事になる。
一方、この熱湯を使って、近くの湖の冷水を86度に温める。海抜400㍍の丘に引き上げ、パイプラインでレイキャビク市内へ運ぶのだ。
7時間かけて、毎秒1640㍑もの高温水が運ばれる。だが、温度は1.8度しか下がらず、家庭のヒーターやシャワーから、プールや工場まで、同市の需要の約45%をまかなっている。
トンズバークさんは「たった4人の技術者が、システムのチェックなどすべての管理を行っている。地熱発電には未来があり、我々の誇りだ」と語った。