原水禁・原水協が閉幕 環境NGOなどと連携課題に
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4日に広島で始まり、会場を長崎に移していた二つの原水爆禁止世界大会が9日、閉幕した。大会を通して焦点になったのは、あと2年足らずと迫った核不拡散条約(NPT)再検討会議に向けた国際世論づくりだった。非核社会の実現を模索する国や、核問題以外の環境・反貧困NGOとの連携などの課題も指摘された。
「核軍縮や核不拡散は重い車を転がすように難しい」。原水爆禁止日本国民会議(原水禁、旧総評系)や連合が開いたシンポジウムでは、外務省の森野泰成・軍備管理軍縮課長が国際状況を説明した。
前回の05年NPT再検討会議は、核軍縮の具体的な取り組みを保有国に求める非核国と、核軍縮を後回しにして拡散問題に固執する保有国が対立。両者の歩み寄りが今後の課題だが、原油高や地球温暖化を背景に、非核国が原子力の平和利用を強く求め、核転用をおそれる保有国の懸念が膨らむ傾向にあるという。
そんな中、キッシンジャー元米国務長官らが昨年と今年に米紙に公表した核廃絶提言は注目を集めた。原水爆禁止日本協議会(原水協、共産党系)の初日の国際会議で登壇した約20人のうち8人が言及。日本原水爆被害者団体協議会の田中熙巳(てるみ)事務局長(76)は「国際世論が大きく動き始めている」と評価した。
だが、英国のNGO「核軍縮キャンペーン」のブルース・ケント副議長は辛口だった。「核兵器を絶対視するドグマは、天動説と同じぐらい根深い。平和と環境、反貧困といったNGOがバラバラでは克服できない」。原水禁、原水協が別々に運動している状況への批判も出た。