冷凍食品 ~危険なのは農薬だけ?~
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中国産冷凍ギョウザによる薬物中毒の発生が1月30日発表され、以降連日関連するニュースが報道されています。そこで、冷凍食品について調べてみました。
日本で最初の冷凍食品は冷凍イチゴで1930年に誕生したといわれています。冷凍食品が注目されるようになったのは東京オリンピックの開催。多くの選手団や観客の食事をまかなう為に野菜や肉類を冷凍してストックしたのがきっかけです。その後ファミリーレストラン等の外食産業が発展して業務用冷凍食品が広まり、電子レンジ対応商品の発売により家庭に普及しました。
2006年の生産高は154万5千トンにのぼり、日本人の年間消費量は「1人当たり、21.1キログラム」まで伸びています。今や食卓やお弁当になくてはならない必需品と言えるでしょう。
冷凍食品のメリットはもちろん手軽なことが挙げられますが、原材料が豊富に出回る時期にまとめて生産されるので価格が安定していること。また、しばしばスーパーの特売品として店頭に並ぶのでお得感もあります。それから長期保存が可能なこと。超低温で急速に冷凍し、水分を急激に飛ばすことで多くの食中毒原因菌を死滅させるので、マイナス18℃で保存すれば、1年たっても食べられます。
しかしながら、今回の事件でも象徴されるようにどこで誰が作っているのか分からない食品には製造工程でのミスや、ひょっとすると悪意が潜んでいるかもしれないという漠然とした不安が付きまといます。この事件をきっかけに、食材をまとめて調理し冷凍する自家製冷凍を考え始めた方もいるのではないでしょうか。
自家製冷凍の場合、菌の成長を止めるだけなので、菌が残っていると解凍の際に増殖する危険があるので注意が必要です。
多くの食中毒原因菌は28~47℃で増殖しますが、少数ながら低温下でも増殖する菌があるので挙げます。
黄色ブドウ球菌
この菌は人や動物の傷を化膿させる原因菌で、エントロキシンという毒素を産出して食中毒を起こします。
化膿した傷口や鼻、のど、皮膚、毛髪などに存在しており、健康な人でも20~50%は保菌しています。
原因食品は米飯(特におにぎり)、畜産製品、魚肉練製品などがあります。
発育適温は32~37℃ですが、7℃でも増殖が可能です。ただし、食中毒の原因毒素であるエンテロキシンは10℃以下では産出されません。
リステリア菌
この菌は自然界の広くに分布し、河川水や下水、土の中など環境のあらゆるところに存在するため、家畜や野菜など様々な食品が汚染される可能性があります。
特徴的なのは低温化でも増殖できる点で、0~45℃で発育することができます。
日本では食品を経由してリステリア菌に感染した例は確認されていませんが、諸外国では多数報告されています。
原因食品として注意しなければならないものは、加熱せずに食べる生ハム、ソーセージ、ソフトチーズなどが挙げられます。
このように低温下でも増殖できる食中毒原因菌が存在するので、自家製冷凍の食材は言うまでもなく、開封した市販冷凍食品の低温長期保存は避けたほうがよいでしょう。