ネズミ被害 ~高齢化社会への進出を防げ~

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ネズミ被害 ~高齢化社会への進出を防げ~

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夜、電気を消す。とたんにガサゴソと音がする。ネズミどもの出現だ。天井裏を走り回り、台所を荒らす。

 近年、高齢化社会の進行と重なるように、ネズミの被害の増加傾向が聞かれるようになっている。

 ネズミは器物をかじったり、イエダニをばら撒いたりするだけでなく、さまざまな伝染病も媒介する。たかが小動物とあなどってはならない。しっかりとしたネズミ対策が必要だ。

 家ネズミには、ドブネズミとクマネズミ、ハツカネズミの3種がいる。イカリ消毒技術研究所長の谷川力さんによると、日本各地での主な被害はクマネズミによるものが多いという。

 クマネズミは南方原産なので暖かい場所を好み、木登りもうまい。高いビルや断熱材を使った戸建て住宅は快適な場所なのだ。

 かつての家ネズミの主役は大型のドブネズミだったが、ビルが多く建ち始めた昭和40年ごろから、クマネズミが増えた。その後、バブル景気の衰退を経て都市の再開発が始まるとビルが解体されていった。そこにいたクマネズミたちは周辺の住宅に移動して、現在に至っているらしい。

 移住先には高齢化の進む住居があった。お年寄りの住まいはクマネズミにとって暮らしやすい。

 長年の生活で、部屋中にいろんな品物がたまっている。食べ物の買い置きも多い。老夫婦だけになって、使わない部屋もある。階段の上り下りが大変なので2階にもあまり行かない。仏壇の花もエサになる。こうして、ネズミが安心して子孫が増やせる楽園が用意されるというわけだ。

 捕獲手段としては、シート式の粘着トラップが普及しているが、殺鼠剤を天井裏に置く作業などは、高齢者には難しい。そのうえ殺鼠剤に対する抵抗性を備え、殺鼠剤だけを食べて生きていくクマネズミも現れている。

 理解しやすい駆除講座の充実など、高齢化社会を意識した行政の対応が必要だ。ネズミ退治を装った悪徳商法の横行も許してはならない。ネズミの増減を把握するためには自治体や国レベルでの統計の設備も望まれる。

 人間の身近に暮らすネズミは社会の変化も利用する。今や高齢化を足がかりにしつつある。蔓延を防ぎたい。



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