オゾンホール7カ国が観測
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南極・昭和基地では第48次南極地域観測隊がオゾン濃度測る気球を次々と上げている。今月は上空のオゾン層の破壊が急激に進んでオゾンホールが最も発達する時期で、ドイツや日本など7カ国が9基地で同時観測をしている。環境省によると、昨年9月のオゾンホールの面積は南極大陸の約2倍に当たる2929万㎡で、過去2番目の大きさを記録した。今年は8月中旬に出現したが、気象庁は「昨年ほど発達していない」とみている。
世界気象機関(WMO)は昨年、南極上空のオゾン濃度は2065年ごろにオゾンホール出現前の1980年水準に回復すると予測している。松本准教授も「議定書は科学的に不確実でも早めの対策を採る予防原則の視点に立脚している。対策の効果が表れるには時間がかかる」と話す。
昨年の締約国会議での報告によると、成層圏のオゾン層破壊物質の総濃度は、90年代後半の最大値から減少傾向にあるという。オゾン全量は、オゾンホールがなかった80年代までの平均値より約4%少ない状態が続いているが、オゾン層破壊物質の濃度現象に合わせて00年ごろから穏やかな増加傾向を見せ始めている。このため、オゾンホールの面積は今がピークと見る専門家が多い。議定書による規制効果は確実に出ているとみられる。
日本にも議定書に沿ったフロン規制に積極的に取り組んでいる。政府は02年4月、フロン回収破壊法を施行、業務用エアコンなどの廃棄時にCFC、HCFC、HFCの回収と破壊を義務づけて大気中への放出を防ごうとしている。今年10月から引き取り証明書の交付や保存で監視を強化する予定だ。