109都市参加「京都気候変動防止宣言」採択 ~脱温暖化 自治体主導で~
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2月16日から3日間、「気候変動に関する世界市長・首長協議会(WMCCC)」(京都主催)が国立京都国際会館」(京都市左京区)で開かれた。加盟11カ国15都市で2005年に発足した協議会は、13カ国18都市に増えた。会議には未加盟も含め26カ国・地域の109都市や団体から約900人が参加、取り組みを紹介し、連携を図った。そして、加盟都市が、全ての国に温室効果ガスの大幅削減を呼びかけるなどの「京都気候変動防止宣言」を採択し、名誉議長の桝本頼兼京都市長らが発表した。
16日には開会式やパネルディスカッションがあった。
基調講演で西村六善・外務省地球環境問題担当大使は「化石燃料利用の効率化と削減を図らなければならないのは言うまでもない。削減が新しい価値を生む、というシステムを作る必要がある。そのためには、中央政府だけでなく、自治体、首長も主要なプレーヤーである」と述べた。
「自治体首長の国際・国内イニシアティブ」と題したパネルディスカッションでは、都市の役割の重要性が討議された。豪・メルボルン市のジョン・ソー市長は「豪州では、記録的な乾燥が続き、2005年には100㌶の森林が火災で失われた。主なエネルギーの消費地は都市部で、それが周辺部の砂漠化を生んでいる。都市が温暖化の主要な焦点と言える」と、都市の責任を強調。また、米・サンタモニカ市のパム・オコナー市長は「米政府は京都議定書を批准していないが、都市は違う。全国の40%の300の都市が、気候変動防止推進の自治体レベルの枠組みに参加し、情報交換や技術協力を行っている」と述べた。
一方、南北問題もテーマになり、知識や技術の共有と国際的な財政援助が議論された。ウガンダ・エンテベ市のステファン・カブエ市長は「排出量の3.6%しか占めていないアフリカが、最も深刻な影響を受けている。干ばつは貧困や飢餓のまん延に直結する」。会場から発言したナイジェリア大使も「サハラ砂漠は1年間に5~6㌔も進んでおり、多くの犠牲を生んでいる。しかし、森林資源を暖房などに使ってしまい、さらなる砂漠化を招いている。アフリカは太陽エネルギーは豊富にあるが、太陽光発電パネルはエイズ治療薬と同じで高価で手が出ない」と訴えた。
※採択された宣言
・あらゆる国に、京都議定書後の次期枠組み(2013年以降)交渉で、温室効果ガス排出量を、2020年までに1990年レベルから30%削減し、2050年までに80%削減する目標を設定するよう強く呼びかける
・政府に、再生可能エネルギーの促進、エネルギー効率の向上、省エネルギー技術の開発や総合的都市交通システムの構築等について、効果的な政策枠組み作りを促し、化石燃料への依存体質から脱却することを求める
・他自治体と協働し①パートナーシップを組み効果的な対策を推進する②気候変動が人々の健康やインフラに与える影響への適応策を強化する③経験と解決策を共有する④地域レベルで、気候変動が生物多様性、水、土壌、食糧生産などと相互関連していることを認識し、対策に取り組む
・他自治体にも、温室効果ガス排出削減の政策実行と目標設定を働きかける
・排出削減と地域経済発展戦略を統合させる
・自治体の事務事業と地域社会の双方で排出量を一層削減するとともに、今後、より積極的な排出削減目標を設定する
・より多くの自治体リーダーにWMCCCへの参加を呼びかける