腸炎ビブリオ菌
天気が変わりやすい日が続いています。
激しい気温差で体調を崩しやすいので体調管理を意識して行いましょう。
今回は腸炎ビブリオ菌について紹介したいと思います。
日本では特に6月から9月の、海水温が20℃を超える時期に多く発生します。
主に海水中に生息する細菌であり、本菌で汚染された魚介類を生食することで、ヒトに感染して腸炎ビブリオ食中毒を発症させます。
魚介類の生食を好む日本人の食習慣のためか、日本では腸炎ビブリオ菌食中毒はサルモネラ菌食中毒と並んでよく発生する食中毒です。
腸炎ビブリオ菌の汚染の出発点は魚介類などの海産物です。
夏になると、近海産のアジやサバ、タコやイカ、赤貝などの内臓やエラなどに腸炎ビブリオ菌は付着しています。
これらを生食用の刺身にするとき、切り身に移って腸炎ビブリオ菌に汚染されます。
また、魚介類に付着した腸炎ビブリオ菌が、冷蔵庫の中やまな板などを通じて他の食品を汚染し、2次汚染で腸炎ビブリオ菌食中毒を起こすこともあります。
東南アジアなどでも腸炎ビブリオ菌食中毒は発生し、旅行者下痢症と呼ばれる輸入感染症の原因菌の一つであります。
腸炎ビブリオ菌食中毒は、喫食後10~24時間後に激しい腹痛と下痢が起こります。
特に腹痛はさしこむような激痛で、猛烈な苦しさを伴います。
また、激しい下痢が何度も続くため、脱水症状を起こすこともあります。
発熱はあまりなく、ほとんどは抗生物質の投与などで2~3日で回復します。ただし、水のような便が正常に戻るまでには2週間くらいかかります。
予防としては食物の汚染を防ぎ、汚染された食物を摂取しないことが最も重要です。
腸炎ビブリオ菌の特徴は、増殖が早い菌であるため、特に夏期には生の魚介類を常温で放置しないことが重要です。
例えば、買い物の時には魚介類は一番最後に買い,寄り道せずに帰りましょう。
「さしみ」や加熱しないで食べる「ゆでがに」は,“生食用”,“さしみ用”,“そのまま召し上がれます”などの表示があるものを買いましょう。
また、低温に弱く真水にも弱い細菌なので、冷蔵保存したり生魚を真水でよく洗浄することや十分に加熱調理することでも腸炎ビブリオ菌食中毒の感染を予防することが出来ます。
買い物から帰ったらすぐ冷蔵庫に入れ、他の食品に触れないようにラップをかけるか密閉容器に保存しましょう。
調理するときは、直前まで冷蔵庫に保管し,手早く行い、解凍は冷蔵庫の中で、急ぐときは電子レンジを使用するか流水中で行いましょう。
魚介類を扱ったあとは石鹸を使って手をよく洗い、できるだけ早く食べる、などが予防のポイントになります。