熱中症
7月は「熱中症予防強化月間」です。
総務省の統計によると、平成25年の夏期(6~9月)の全国における熱中症による救急
搬送は58,729人で、これは6月から調査を開始した平成22年以降、これまで最多であっ
た平成22年の56,119人を上回る人数となっています。
熱中症は例年6~9月に集中しており、気温が30度未満でも湿度の高い時に発生した例
があります。梅雨時は雨が降っているから熱中症にはならないだろう…と考える人も多い
と思いますが、暑さに慣れていない梅雨も真夏と同じくらい注意しなければなりません。
人間の脳は暑さを感じると、自然と血管を広げたり、汗を出したりして体温を下げようと
します。血管が広がりたくさんの血液が流れることで、皮膚から熱が放出されます。また、
汗は蒸発するときに気化熱として体の熱を奪い、体温を下げてくれます。
しかし、気温が高いときは体の熱が放出されにくく、また湿度が高いと汗が蒸発しません。
体温が下がらないため、体は大量の汗を出そうとします。こうして水分が不足すると、血
液の流れが悪くなってますます熱がこもり、さまざまな症状があらわれます。
水分不足の状態をそのままにしておくと、やがて脱水から熱中症へと症状が移行していき
ます。のどが渇いたと感じたときには、身体はかなりの脱水状態にあると言えます。のど
が渇いたと感じる前に水分補給をする必要があります。
熱中症の主な症状は、めまいがしたり、だるさを感じたり、重い例ではけいれんや意識障
害を引き起こすこともあります。悪化すると自力では動けなくなるため、早めの処置が重
要です。
体調の異変を感じたときは、早めに涼しい場所に移動する、水分を補給する、首の後ろな
ど太い血管があるところを冷やす、といった対処が有効です。症状が重いときは、医療機
関を受診したり、救急車を呼んだりすることも必要です。
梅雨が明けると気温がさらに上がり、熱中症にかかる人が増加します。
熱中症の予防策としては、外出時はなるべく日陰を歩くようにし、帽子や日傘で直射日光
から身を守ることが大切です。
外出時だけではなく、室内での熱中症も増えています。室内で熱中症になった人の多くは、
エアコンを設置しているのに使っていなかったというデータがあります。節電意識は大事
にしたいものですが、暑さが厳しいときは無理をせずエアコンや扇風機を使いましょう。
意外と危険なのは、料理などで火を使っているときです。特に窓のないキッチンなど風通
しが悪いと、熱がこもり室温が上がるのはもちろん、湯を沸かしたときなどに出る水蒸気
で高温多湿状態になってしまうからです。
また、炎天下に停められた車に乗り込むときも危険が潜んでいます。昨年の夏には、車内
で熱中症になった高齢の運転者が死亡事故を起こしています。異常に車内の温度が高くな
っているときは、換気をするなど温度を下げてから運転しましょう。