温暖化・国際議員大会
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地球温暖化への取り組みを世界各国のキーマンが話し合う「気候変動国際議員フォーラム」が14日ワシントンで開かれた。
最大の温室効果ガス排出国なのに先進国全体の削減目標を定めた京都議定書から離脱した米政府の政策転換を求める声が相次いだ。
米議会も削減義務の法案化に動き出しており、ブッシュ政権に対する国内外の風圧は強まっている。
フォーラムは「地球環境国際議員連盟」などが主催。
先進8ヶ国に中国、インド、ブラジルなどの新興5カ国(G8プラス5)から80人以上の国会議員、政府高官、企業家らが参加した。
「今行動するなら最悪の影響を回避する時間が残されている」。
気候変動による経済的損害を計測した「スターン報告書」を昨年10月に発表した元世銀チーフエコノミストのニコラス・スターン卿が講演し、米国のリーダーシップを強く求めた。
ブッシュ政権は京都議定書を離脱した際、米産業界の競争力の低下への懸念とともに中国やインドなど排出量の多い途上国が参加しないことを理由に掲げた。
会場の関心は、京都議定書の期限が切れる2013年以降、米国がどう関与するかに集中した。
「中国やインドの出方も左右する」からだ。
2008年の大統領選に意欲を示す共和党のマケイン上院議員は、温室効果ガスの削減義務法案を共同提案したリーバーマン上院議員(民主党系)とともに出席し、「もう議論する時間は終わった」と強調。
リーバーマン議員も「米国は正しい方向に向かうことになる」と語り、年内の法案成立に自信を示した。
一昨年のハリケーン・カトリーナの被害などから、米国民の危機意識は高まっている。
昨年、全米で公開されたゴア前副大統領が温暖化防止を訴えるドキュメンタリー映画「不都合な真実」は全米興行成績トップ10にランクインされ、ドキュメンタリーとしては記録的なヒットになった。
ハリウッドでは、レオナルド・ディカプリオらの著名人がハイブリッドカーに乗るなど、環境に優しい車に乗ることがステイタスになっている。
国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」は2日、平均気温が今世紀末までに最悪6.4度、海面は59cm上昇すると予測。
ブッシュ大統領も先月の一般教書演説で気候変動対策に初めて言及したが、温室効果ガスの削減義務導入に反対する姿勢は変えていない。
フォーラムで議長を務めた前英環境相のエリオッタ・モーリー下院議員は「2008年の大統領選に向け両党の候補者が温暖化対策を掲げるなど、米国の意識変化は着実に進んでいる。ただ、次の大統領が選ばれるまで、世界は待つことができない」とブッシュ大統領に政策転換を求めた。