温暖化ガス削減 - 家庭・運輸で遅れ
▼詳細
日本が京都議定書の温暖化ガス削減目標を達成するうえで、家庭・運輸部門の対応の遅れが最大の障害になっている、という。政府の削減目標は 産業部門の排出量を1990年比8.6%削減する一方、家庭・運輸部門は増加幅をそれぞれ6.0%、15.1%以内に抑制。全体で0.6%減らすことに なっている。しかし家庭の2005年の排出量は90年比38%、運輸部門も18%増加。産業界が3%減らしたのと明暗を分けている。
家庭では情報機器やデジタル家電の普及で電力消費が拡大。運輸部門も自動車の燃費改善を上回る勢いで台数が増えている。政府は公共交通機関の利用や省エネ 家電への買い替えを促しているものの、いずれも強制力がなく、決め手に欠く。こうした状況で期待が強まっているのが「排出権」の取得。途上国の省エネ事業 に企業などが投資し、国連に認定されれば、その事業の温暖化ガス削減分を日本の削減量に上乗せできる仕組みだ。省エネの遅れた途上国では比較的安いコスト で大幅な排出削減が出来る。経済産業省と産業界は昨秋、排出権取引市場の活性化を探るため、金融機関や商社による連絡会議を立ち上げた。産業界でも自主目 標の実現が難しいとみられる鉄鋼、電力業界などが排出権取得で達成をめざす方向だ。経産省と国土交通省は昨年12月に新たな自動車の燃費規制の導入を打ち 出した。家庭・運輸部門の排出抑制に向け、一段の対策も避けられなくなりそうだ、という。